状況に慣れると感謝を忘れてしまう
理事長の辻 耀子(つじようこ)です。
こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
前回は、病気がきっかけで、4歳の時に手足を切断された女性・Nさんのステキなお話をご紹介させて頂きました。
彼女は我々よりも少し前の世代のかたです。
もうお亡くなりになりました。
Nさんは日常生活の全てを自分一人で誰の手も借りずにこなす事ができるようになり、何とヘレン・ケラーが来日した折、会っていらっしゃいます。
そしてヘレン・ケラーから、
「あなたは私よりもスゴイ!」
と称賛されたかたでもあります。
大人になったNさんは、結婚もし、出産もし、どんな人よりも綺麗に着物を仕立てる人になったと前回お伝えさせて頂きましたよネ。
今日も、臼井先生の残された教義五戒の続きを、あなたと一緒に見ていきますよ!
『今日だけは
怒るな
心配すな
感謝して
業をはげめ
人に親切に
朝夕合掌して
心に念じ
口に唱えよ』
今回は『業をはげめ』の部分です。
私の若い頃のレイキの先生は、この『業をはげめ』の部分について、こう教えて下さいました。
「これは、もっともっと仕事を頑張りなさい、というよりはむしろ、日常の中で、自分で出来る事は自分でやろうよ、という意味です」と。
「朝起きたら顔を洗うとか、そういう事ですよ」と。
先生のおっしゃった意味合いを私なりに考えました。
そして、「ハッ!」と息を飲んです。
気づいた途端、こんな短い当たり前の文が輝いて見えました!
やっぱりこの言葉もまた、まさしく招福の秘法だわ、と…!!
「へ?辻さん、どんな気づきですか?」
はいっ。
今から具体例を挙げてみますネ。
例えば、あなたが若いOLさんだとイメージしてみて下さい。
OLのあなたは、毎朝職場の上司にお茶を煎れているのです。
すると、「ありがとう♪」と言ってくれる上司もいれば、「なんだ、今日のはぬるいぞ!」と文句を言う上司も居るのです。
どちらのほうがあなたにとって気分がいいか…。今更私が訊くまでもないですよネ(^_^;)。
お茶は誰でも自分で煎れられます。
Nさんだってご自分で煎れておられたほどですから、3歳以上のかたならまずどなたでも、
よほどの状況でない限り、煎れられるんですよネ。
けれども私たちは、毎回誰かにお茶を煎れてもらっていると、だんだんその状況に慣れてしまうようです。
そう、いつのまにか、煎れてもらうのが当たり前になってしまうのです。
そうすると、普通のお茶が出てきて、まぁ合格点。
プラスマイナスゼロ。
もしも不満足であれば、「ぬるい!」と文句が出ます。
しかも、文句を言われたOLさんも気分が悪いですが、言った当人もまた気分が悪いものなのですネ。
「何なんだ!こんないい加減な煎れ方をしやがって!自分はあの部下から舐められてる気がする!」
「でも他の社員たちはニコニコしている…。という事は、オレのお茶だけぬるいのか?!」
「そう考えると、自分だけが見下されてる気がする…!」
「ああムカつく!!何でみんなもっとオレを尊重しないんだ!」
他にも、同じような事は起こっているようです。
以前、「どうしても痩せられない」と嘆く女性に会ったんです。
当時彼女は35歳。
独身で、自宅からお勤めされていました。
「夜、油っこいメニューを親が用意してるんですよ。残すわけにもいかないし、帰宅したら
それを食べるしかないじゃないですか。
痩せたいからあっさりとしたダイエットメニューにしてよってどんなに言っても、親は自分が食べたいメニューを作るんです。
もちろん親も太ってますよ?
でも別に気にしてないみたいで…。
参っちゃいます。
そのくせ、あんたはもう少し痩せたら結婚できるんじゃないの?って言ってくるんです。ホント腹が立ちます。
こんな状況でどうやって痩せろっていうんですか。
痩せない限り、ステキな人も現れてくれませんよ(ため息)。」
親の養育義務は、成人の年齢まで。
ですので、そこからさらに10年以上も、住む場所や食事を用意してくださっているご両親なのです。
しかも、疲れて仕事から帰宅したらごはんがすでに出来上がっていて、席につけばいいだけだなんて、これはとっても嬉しい状況のはずなのです。
(今一人暮らしのかた、ご自分で家族の食事を用意されているかた。思わず「毎日ごはんが出てくるなんてうらやましい~!しかも食費もタダじゃないの!」と唸っちゃうような、恵まれた状況ですよね?)
でも…私たちはその状況に慣れきってしまうと、ついつい感謝を忘れちゃうんですネ(///)。
他には…
「ダンナさんの稼ぎが少ない」とグチをこぼしている専業主婦のかたも同じワナにはまっちゃってるようです。
不満があるのなら、ダンナさんと立場を変わってもらえばいい。
「みてなさい!仕事ってのはこうやるのよ!こうやってバリバリ稼ぐのよ!」
と、見本を見せてあげればいい。
山ほど稼いで見せて、
「その代わり、あなたは家の事を一切やってね!」
と言えばいいのです。
役割交代です。
なのに、そうしないのはなぜ…?
ずーっとグチだけ言い続けてるのはなぜ?
(きっと理由があるはずですネ…。)
(心のどこかに、
「働くのはしんどい」とか、「私にはダンナさんほど稼げる力がない」など、自分では気づいていない気持ちがあるのかも…。)
(あるいは、本当はご主人に対して、他の事で腹が立っておられるのかもしれないです。)
つまり、私たちが不平不満を感じている時。
人から大切に扱われている気がしない時。
うっかり知らないうちに、誰かに「やってもらうのが当たり前」になっている事があるようなのです。
つまり、知らず知らず「甘ったれ」になっちゃってるんですネ。
(本当に、赤面モノです、自分でも。)
また、よくよく考えてみれば 本当は自分でも出来る事なのに、
「絶対ムリ!出来ない!」
って思い込んでいたりしてネ(^_^;)。
(出来ないって事にしておけば、らくちんかもしれないですよネ…。)
…ここで、
「じゃあ、甘えはいけない事なんですか?」
と反論や疑問を持たれたかたもおられるかも知れませんネ。
よく、巷の女性向け恋愛本などでは
「上手に甘えられる女性こそ、モテる女性なのです!」
と書いてありますしネ。
甘えは全然悪いことじゃないと思うんです。
誰かから甘えられたら、嬉しくなる事も多いものです。
相手の事を可愛く、愛しくも感じます。
ただし…。
どうやらそれは
『自覚を持って甘えてこられている時だけ』のようです。
甘えに無自覚な時、どうも私たちはつい、知らないうちに横柄でふてぶてしい態度になってしまっているみたいなのです。
「あなた、何様ですか?」と思われるような、厚かましくて高飛車な言動をしていたり、相手を不快にさせているようなんです。
最初にご紹介した、部下から出されたお茶を「ぬるい!」と怒る上司のようにネ。
『業をはげめ』とは、自分の事は自分でやる事
というわけで…。
『業をはげめ』。
自分で出来る事は、自分でやろうよ。
自分の世話は、自分で面倒見ようよ。
という意味のようです♪
こんな心構えで日常生活を送っていると、知らないうちに心が「誰かにやってもらって当たり前」という甘えに支配される、という事態も少なくなります。
さっきの上司も、もしも職場で部下のOLさんが自分にお茶を差し出してくれた時に、きっと笑顔で「ありがとう♪」が言えるはず。
そうしたら、自分に笑顔で「ありがとう♪」と伝えてくれる人間を「ムカつく!」と不快に思う人など居ませんから、その上司はもっと職場で周囲から愛され、信頼され、尊重されるのです。
(心地よさのキャッチボールが起こり、いいムードが広がっていきそうです!)
ここに気づかず甘えのワナにはまったまま、高圧的な態度で「もっとオレを尊敬しろ!お前ら、挨拶がなっとらん!何だその人を馬鹿にしたような態度は!」と言い散らかしておられるかたも、きっとあなたの周囲にはおられるかも知れません。
もったいないですよネ…。
やればやるほど、周囲の人から見下され、もっと孤立します。
自分の事を自分で一生懸命やろうとしている人は、生きる姿勢がすがすがしいものですから、周囲の人から好かれます。
そして皮肉なパラドックスなのですが、こういう「あり方」で過ごしている人のところにこそ、たくさんの応援の手が差し伸べられるものみたいです(笑)。
もしも頑張っている自分に応援の手や「ちょっと代わりに手伝おうか?」という言葉が届いたなら、そんな時まで踏ん張って拒否する必要はないのです。
ありがたく手伝ってもらい、恐縮するよりも感謝を伝えられる自分でありたいな、といつも思っています。
あなたとのご縁に、
心からの感謝を込めて…。
今回のまとめ
「期待がないほど、誰かの愛情や優しさが身に染みるので、幸せを噛み締める事ができるものです♪」
by 辻 耀子